Samba
押し寄せる人、人、人。ここはルアンダ市のサンバ(SAMBA)という場所にある魚市場です。
運転手に”魚市場に連れて行ってくれますか?”、と頼んだらここに連れてきてもらいました。
車を降りるとあたり一面に何千人、いや何万人という人々群がっているのが目に飛び込んできました。私たちが想像する魚市場・・・建物があって、エアコンが効いて、氷の上に魚が並べられて・・・とは全く異なっていました。海につながる広い広い空き地が市場でした。圧倒される光景でした。一歩踏み入れるのに勇気が入りましたが、恐る恐るその仲間にいれてもらいました。99.99%は肌の黒いアンゴラの人達で、残りの0.01%が私だけ、でした。
群集は大きく三つに分かれていて、一つは砂浜にあがってくる魚を運ぶ人、一つはそれを仕入れて売る人、もう一つはそれを買うためにぞろぞろと歩く人、お客です。それが無秩序に、しかしある法則の中で入り乱れながら動いていました。遠くに桶を頭に乗せている女性たちは、岸に上げられた魚を運ぶ人達です。大きな魚は男性が荷車に乗せて運びます。魚は生のまま板の上に並べられて売られます。値札はありませんが、大体相場はあるようです。数十メートル先は浜です。手に取るように船の出入りが見えます。そこには手漕ぎ船からエンジン付のいわゆる漁船まで、大きさや形が様々な船が浮かんでいます。お客は美味しそうな魚を探して肩と肩をぶつけながら前へ前へと歩いていきます。アメ横の比ではありません。
アンゴラには寒流が流れていて、アフリカ随一の豊かな漁場があると言われています。市場には水揚げされたばかりのカツオ、いわし、太刀魚やイカなど、ところ狭しに並んで売られていました。この日はいわしを10匹500クアンザ(現地通貨で125円)で買いました。買ったそばからさばいてくれるお兄さんがいて、彼には125クアンザ(現地通貨で30円程度)払いました。
太古の昔から魚は大事なタンパク源ですが、その太古の昔とあまり変わらない姿が今でも残っていることに驚きを受けました。ハエが飛び交い、地面に散乱するゴミを見るにつれ、食の安全不在の市場の衛生環境には衝撃を受けました。
しかし、魚市場では時間が勝負です。ボーっと止まっている人はいません。活気に満ちて、ある種近寄りがたい雰囲気を持つのは市場ですが、ここの人達はとてもフレンドリーです。写真はいわしを買ったお店の人です。魚を並べる板、海水をためる桶、ナイフだけで商売をしています。値札はありませんが、ぼったくったりしていませんでした。とにかく一生懸命に売る、仕入れては売る。これを楽しそうにやっていました。やはり商売熱心な人にはお客も沢山来ますし、儲かります。儲かればそれでもっと高い魚を仕入れられてもっと売れる・・・そんな商売のコツをアンゴラの人々が実践すれば、もっと成長するだろうな、と感じています。
その晩は買ったいわしを煮付けにして食べてみたところ、やはり旨かったです。
今度、買ったお店の人に食べさせてあげたい、と思いました。