Água
「水」はポルトガル語でアーグァ、と言います。
アンゴラの地方の村々では、飲み水が簡単に手に入りません。水を誰かが運んできてくれるわけでもなく、自分で水を取りにいかないと、生きていけないのが現実です。
先週、アンゴラ最北のカビンダ(Cabinda)という州の山間の村落に行ってきました。カビンダ州はアンゴラの飛び地で、間にコンゴ民主共和国があります。沖合いにはアンゴラ経済を支える世界有数の海底油田が広がっています。いまやアンゴラの石油産出量はナイジェリアを抜いてアフリカ最大となっています。
しかし、カピンダ州はアンゴラの中でも貧しい州と言われ、村は貧困の中で暮らしています。訪問した村には電気も水道も学校も診療所ありませんでした。毎日、谷あいの湧き水まで女性が汲みに行っています。
その湧き水を一目見るために、村長さんに実際に案内してもらいました。足元の悪いジャングルを下ること10分、ようやく水源にたどり着きました。村長さんが「湧き水」と言うので、温泉のようにコンコンと湧き出る水源を想像していたのですが、虫などの浮遊物が混ざった濁った水でした。透明なゼリーの中に不純物が漂うような水源でしたが、端の方には石油のような油が浮いていました。
村の女性たちはこの湧き水を毎日25リットルのポリタンクにいれて、ひとりひとりが頭の上に乗せて一日3から4往復するそうです。にわかに信じられない話でしたが、子供が平均10人いるこの村の家々では、飲み水や生活用水にこれだけ要るのだそうです。
村に帰って、そのポリタンクを見せてもらいました。満タンで25キロの重量になります。
辛い思いをして運んできたポリタンクの水をやむなく子供から老人まで毎日飲んでいますが、病気で倒れる人も沢山いるようです。
ポリタンクの前でしばらく言葉を失ってしまいました。
州都から同行してくれた若いアンゴラ人の男性は、思わず天を仰いでいました。
その姿が、いまでも目に焼きついています。