Carnaval
毎年カーニバル (Carnaval) では最優秀クラブチームを投票で決めます。
今年は通算12回の優勝を誇る地元の名門クラブ "Mundo da Ilha"(ムンド・ダ・イーリャ、訳:イーリャの世界)の踊りに注目が集まっていました。
すっかり陽が落ちて、いよいよ本命の登場です。
会場に"ムンド・ダ・イーリャ!!”、とアナウンスが流れると、観客は総立ちとなり、割れんばかりの歓声と拍手が響き渡ります。
続いて、軽快なアフリカンビートのテーマ音楽が流れ、会場を一気に包み込みます。
遠くから正装したリーダーが堂々とした足取りで入場してきました。
その後を、独特の身のこなしをして踊る男性の列が続きます。
観客のテンションが最高潮に達した頃、数百人の女性の一団が登場してきました。
彼女らは、アンゴラの町でよくみかける行商のおばさんの格好をしています。
この一団は、”ムンド・ダ・イーリャ”の名物で、生魚、果物、野菜などを入れた”たらい”を
頭の上に乗せながら行進します。
派手な演出はありません。彼女らは軽快な足取りで、陣形を変えながら、前進しては止まり、観客に笑顔を振りまいて、また前に進みます。
生活のにおいがする、アフリカ伝統の行商スタイルの踊りです。
”ムンド・ダ・イーリャ”には、”無病息災、安産祈願”の象徴と言われる、医者や看護婦の格好をした人も登場しました。
一つのクラブチームは500人から1000人のメンバーで構成されていて、本番では700メートルの舞台(ストリート)を30分かけて踊りますが、"ムンド・ダ・イーリャ”は45分かけていました。相当の体力、集中力、団結力が求められます。
数日後、"ムンド・ダ・イーリャ”優勝の報道が新聞を賑わせました。
アンゴラはかっていない不況に見舞われ、アンゴラ人は毎日苦しい生活を強いられています。
背伸びせず、派手な演出もせず、家内安全と生きていることの喜びをたんたんと演じた"ムンド・ダ・イーリャ”に、大きな拍手を送りたいと思います。