Senhor!
田舎の村で、草野球をしました。
村の子供たちが集まってきました。
生まれて初めてみる野球を遠巻きに見ていました。
ぼくはつい調子に乗ってしまい、ボールを追いかけて転倒して、
腕や肘が土で汚れてしまいました。
遠巻きに眺めていた子供たちも、
途中から玉拾いを手伝ってくれたりして、参加してきました。
アフリカの大地で開かれた、小さな親善草野球です。
子供たちにとって初めてさわるバットもグローブも、
すぐに、コツを覚えて、見よう見まねで、遊び始めました。
夕方近くになって、もう帰ることになりました。
子供たちは残念そうな顔をしていましたが、
丁寧にボールやバットを返してくれました。
広場を去ろうとしたとき、5歳くらいの子が
”セニョール”と言いながら駆け寄ってきました。
何だろうと思ったら、肘についた泥を小さな手で拭きとってくれています。
そして、彼はニコッと笑って、走り去っていきました。
小さな村での、小さな出来事でしたが、
いまでもあの子の大きな優しさが忘れられません。