top of page

Ovo


アンゴラには赤ちゃんを抱き上げる母親の姿の置物があります。

しなやかで、優しく、力強いアンゴラ独自の木彫りです。

子供をもつ母親の喜びが生き生きと表現されています。

貧困や病気など、現実に迫り来る暗い影はありません。

アンゴラには、頭の上に”ゆで卵”(Ovo Cozido,オーヴォ・コシード)

を乗せながら売り歩く女性が沢山います。

先日、見かけた女性は妊娠していました。

こちらから声をかけて、卵(Ovo) を一個注文しました。

すると、慣れた手つきで頭の上から卵が詰まったケースおろすと、

一番良い卵を選んで、丁寧に塩をふりかけてくれました。

実に美味しかったです。

その味は今でも忘れられません。

アンゴラの人口は2600万人で、10%が4歳未満の幼児です。

子沢山の家が多く、街でも妊婦さんの姿を多くみかけます。

それまで、街中でゆで卵を食べようと思ったことはありませんでしたが、

これを機に、見方が変わりました。

身ごもった体で、100個のゆで卵を乗せて一日10キロ売り歩くには、

相当の覚悟がないとできません。

生まれてくる赤ちゃんのために、頑張っているのだと思いました。

気がつくと、女性は青空の中に吸い込まれるように、はるか遠くにいました。

その後姿は、木彫りの女性のように、しなやかで、たくましかったです。


bottom of page