Sargento
写真の方はBassa(バッサ)さん。
地方にある”カンガンダラ国立公園”(Cangandala)の管理人です。
この公園ではアンゴラの国獣で絶滅危惧種のプランカ・ネグラ
(Pranca Negra/英語で"Giant Black Antelope")を保護しています。
このバッサさん、内戦当時は軍曹(Sargento)でした。
片時も銃を離さず、来る日も来る日も敵と戦っていたそうです。
アンゴラの内戦は1975年に勃発しました。
奇しくもベトナム戦争が終わった年です。
ベトナム戦争と入れ替わるように始まったアンゴラの内戦は、
終戦の2002年まで27年間続きました。
アメリカが支援する南アフリカ軍と、旧ソ連が後ろ盾となった
キューバ軍を主力とした文字通りの米ソ代理戦争でした。
最終的に、旧ソ連・キューバ軍が勝利し、その流れが今の政権に
続いています。
バッサさんは旧ソ連・キューバ軍側の兵士でした。
女性や子供まで戦場に借り出され、動物を殺して食用にせざるを
得なかったと言います。当時国立公園にいた動物も絶滅しました。
バッサさんはいま、銃をホウキに持ち替えて、毎朝、公園の掃除
から一日を始めています。
まるで、お寺のお坊さんのようでした。
動物を密猟者から守るために、昼夜のパトロールも欠かしません。
バッサさんの足元に、小さなアリの隊列がありました。
彼は、そこをそっとよけながら、ホウキで掃き続けていました。