Mundo
ぶらぶらルアンダの町歩きしていたら、海沿いに17世紀に建てられた
ナザレ教会、という古い教会の前にきました。
そっと除いてみると、壁はポルトガル時代の藍色のタイル、床には古い
木の長椅子が整然と並んでいました。
歴史の重みを感じます。
教会の横には、控え室がありました。ここでは、日曜学校も開くので
しょうか、小さな机や椅子が置いてありました。
部屋の奥の壁には生徒さんが描いたと思われる、世界地図(MAPA DO
MUNDO/マパ・ド・ムンド)が飾ってあります。
部屋には、小学生の女の子が、初めて日本人を見るかのような眼差しで
物珍しそうに、こちらを見ています。
ぼくは、しばらく世界地図を眺めていました。
いつも見る地図とどこか、違います。
地図の中央に、アフリカ大陸がドーンとあります。
アンゴラのすぐ西には、まるで陸続きのように、ブラジルがあります。
インドまでヨーロッパ、その東はみなアジア、
そして、日本が地図の一番右端にちょこんと描かれています。
しばらく、この地図に釘付けとなりました。
アンゴラ人の世界観を映し出す地図にも見えます。
ポルトガル語を母語とする人口は、世界で2.5億人います。
ブラジル(2億人)のポルトガル語圏の中の経済や言語面の影響力は
圧倒的に大きいです。
そのブラジルの存在感が、この地図の中に素直に描かれていました。
一方、もともと宗主国だったポルトガルやヨーロッパ諸国は、地図には
真っ白いまま、まるで、目立たないように書かれています。
この世界地図に込められた意味を考えながら、町歩きを続けました。
後ろを振り向くと、真っ白い教会がだんだんと木陰に消えていきました。
この教会も、ひっそりと、目立たずに立っていました。