Eiffel
真っ青な空の下で、ひときわ映える19世紀のフランス建築がアンゴラの
首都ルアンダにあります。
パリのエッフェル塔や、ニューヨークの自由の女神を設計した、フランス人
の著名な建築家エッフェル(Eiffel)が、手がけたとされています。
Palácio de Ferro(パラシオ・デ・フェロ)「鉄の宮殿」と呼ばれる、この
優雅な建物は、エッフェル塔が完成した1889年の翌年に、フランスで
建造が始まり、
その後、船でマダガスカル島に運搬される途中、アンゴラ南部のナミベ州の
沖合いで座礁し、引き揚げられて、そのままアンゴラに残されました。
1961年のポルトガル統治時代まで、この宮殿はルアンダの社交場として
栄え、絵画の美術館にもなりました。
その後、独立戦争と内戦によって、2002年まではほぼ廃墟となりました。
次第に、記憶と記録から、消えていきます。
戦時中は、武器の資材に転用されず、よく生き残ったものだ、と感心します。
戦火に巻き込まれること無く、無傷で立ち続ける姿に、神々しさを感じます。
現在、フランス大使館の支援によって、ようやく当時の面影を取り戻しつつ
あります。
エッフェルが設計したという決定的な証拠はまだ見つかっていません。
しかし、数奇な運命を潜り抜けて、時代の流れを見つめてきた鉄の宮殿には、
エッフェル塔や自由の女神と共通の遺伝子を感じます。