Doce
ある村で、近くにいる子供に飴玉をあげていたら、
一瞬にして村中の子供たちが集まってきました。
別の村では、バオバブの木を見に車を降りていると、
子供たちが一列に座り始めて、手に持っていたお菓子が
もらえるのを、じっと待っていました。
ある田舎道でツアーの四駆に乗っていると、開いた車窓に
若い男性が近寄ってきて、飴を受け取っていました。
日本では一言で”物乞い”と片付けてしまいそうですが、
アンゴラでは、ちょっと違います。
彼らにとって、天から小さな恵みが降ってきたような瞬間です。
みな夢中で手を伸ばします。
お菓子を横取りする子供はいません。
しかし、一瞬でなくなります。
飴(Doce・ドーセ)は、もらえたら甘くて美味しい。
もらえないと、涙の味で切なくしょっぱい。
飴をもらった子は満面の笑みを浮かべて、家に帰ります。
ある日、もらえなかった子が一人で広場に残っていました。
その場所から離れようとしません。
それが今でも目に焼きついています。
もう飴は始めからあげない方が良いと、最近思い始めています。