Barbearia
彼の名前は、ジョアン。
近所の理髪店(Barbearia)のお兄さんです。
椅子が二つしかない小さな店ですが、
週末になると一日20人くらいのお客さんが来て、賑わいます。
アンゴラは黒人系が多いので、髪質はちじれています。
そのため、男性も、女性も髪の手入れには気を使っています。
ジョアンに聞くと、男性は2週間に1回の割合で散髪に来るそうです。
髪を切るときに使うのは、バリカンです。
ハサミはあまり使いません。
男性は、丸刈りが主流です。
みな、頭の形が良いので、サマになっています。
この店の散髪代は1500クアンザ(約400円)です。
アンゴラ庶民にとっては、すこし高いほうかもしれません。
正面には大きな鏡があります。
突然、背広を着た青年が店内に入ってきました。
「鏡を貸してもらっていい?」とジョアンに聞いています。
"à vontade"(ア、ボンタージ)「どうぞ」、と言うと
青年は、鏡に向かって身だしなみを整え、礼を言って出て行きました。
日本では見かけない光景です。
自慢の大鏡は、こうやっていろんな人をお店の中に呼び込んでいます。
ジョアンはお客さんの髪を切り終えると、
いつものようにバリカンの掃除を始めていました。
鏡には、ジョアンの満足そうな笑顔が奥から映って見えました。
まるで、本人が鏡の中にいるようでした。