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Kimbo

アンゴラの南部にクネネという州があります。

すぐ南はナミビアです。

地図を見ると、国境は一本の線で引かれています。

アンゴラを統治していたポルトガルと、

ナミビアを統治していたドイツが、決めた国境です。

定規と鉛筆をつかって、決められました。

このクネネに行ってきました。

ここには、オンチバン(Otchivam)という部族が、昔から住んでいます。

この部族はナミビアの北部まで広く分布しています。

彼らは、パスポートなしで自由に国境の往来できます。

ナミビア側にいる親戚に会いに、

アンゴラ側の安い水を汲みに、

お互いに自由に行き来しています。

オンチバン族は、親族単位で自分たちの土地を代々守ってきました。

写真のようなキンボ”(Kimbo)と呼ばれる囲いを四方に巡らせます。

長いもので端から端まで数キロあります。

部外者は自由に立ち入れません。

オンチバン族は、牧畜で生計を立てていますが、

動物や魚の肉は一切口にしません。

みな、ベジェタリアンです。

そして、親子兄弟一緒に、同じ敷地に住んでいます。

兄弟の誰かが先に亡くなると、その妻は、未亡人になることなく

他の兄弟の妻になります。

このように、いまでも一夫多妻制の習慣が残っています。

そのため一人がエイズに感染すると、またたく間に、家族の間に広がり、

最後は、”キンボ”に住む一族が消滅してしまうそうです。

その”キンボ”に住むある家族が、川のほとりまで洗濯をしに来ました。

洗濯物を洗い始めると、音もなく波紋が水面に広がります。

波紋は、小さくキラキラと輝き、やがて消えていきました。

クネネを離陸すると、眼下にポツン、ポツンとキンボが見えました。

家族が消えて失われていることを、暗示しているように、

洗濯場でみた川の波紋のように、

輪郭がなくなり、消えそうなキンボもありました。


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