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Paizihu e Vava

Paizihu(パイジフ)とVava(ヴァヴァ)は

仲良しの兄弟です。

兄のパイジフ君(写真下:左)は弟思いで、

弟のヴァヴァ(中央)といつも一緒です。

二人で親が編んだ小さな籠を、

毎日売り歩いています。

ここはマランジェ市。

ルアンダから車で7時間かかる、内陸の町、

夜になると、市街地は暗闇に包まれます。

市内の一番近代的なホテルのレストランで、

この日、ぼくは夕食をとっていました。

外の正面玄関に、二人は座っていました。

暗くて、最初はよく見えませんでした。

そこで、お客さんが出てくるのを待っていました。

兄が持っていた縦長の籠は、

500クアンザ(約150円)でした。

今日は一個も売れていないそうです。

上等なものではありませんが、

ぼくは値切らずに、言い値で買うことにしました。

500クアンザあれば、20個以上のパンが買えます。

貴重な収入です。

お金を支払ったあとに、

二人の名前を手帳に書いてもらいました。

まず、兄が自分の名前を丁寧に書いてくれました。

Paizihu 12(歳)

次に弟に書いてもらおうとしたところ、

「弟はまだ自分の名前が書けないんだ」と言って、

兄が代わりに

Vava 8(歳)

と書いてくれました。

8歳になっても、まだ自分の名前が書けない弟でした。

ルアンダに戻ってから、

その籠を家の床に置いて、飾っています。

日が差し込むと、窓枠の影に寄り添うように

籠のシルエットが静かに浮かび上がります。

あの夜、柱の横にそっと座っていた二人を思い出します。


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