Crux
アンゴラ南部の大西洋岸。
水平線の彼方に日が沈み、夜空に星が浮かび上がりました。
日本では見られない珍しい星座が登場します。
南十字星が神々しく、輝いてます。
オリオン座は逆立ちして見えます。
北極星は水平線の下に隠れて見えません。
ここは南半球。
北半球の星座は主にギリシャ神話が由来ですが、
南半球は、大航海時代に由来する星座がたくさん登場します。
たとえば全天で一番小さい星座の南十字星。
5000年前は北半球でも見えたようです。
キリストが十字架にかけられた時代は、まだ地平線に確認できたようです。
その後、北半球の人々からしだいに忘れられていきました。
北半球で目印とされていた北極星は、
赤道付近で水平線に消えてしまうため
南半球で航海を続けるための新しい目印が必要となりました。
それが、南十字星(Crux)です。
大航海時代の1500年に、ポルトガルのMestre João(ジョアン)
という天文学者によって初めて記録されて、世に知られます。
十字の4.5倍の縦方向に、天の南極があります。
南半球の空には、大航海時代に実際に使われた道具の名前も
星座につけられてます。羅針盤、六分儀、八分儀、時計。
これらの星空の名付け親は知りませんが、
アンゴラ沖を航海した人物かもしれないと思った瞬間、
浜に打ち寄せる波の音が、あたりに響き渡りました。