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Angolares


アンゴラから空路で2時間かけて、ギニア湾に浮かぶサントメ・プリンシペ島

という国に旅行してきました。今回で2回目の旅行です。

この島に、”サン・ジョアン・ドス・アンゴラレス”(São João dos Angolares)

という村があります。

通称、”アンゴラレス村”(Angolares)と呼ばれるこの村は、16世紀にアンゴラ

からの黒人奴隷が開拓した村です。

ある日、アンゴラから出航した奴隷船が沖合いで難破しました。

運よく脱出できた黒人の奴隷は、命からがら海岸まで泳いでたどり着きました。

その海岸に、奴隷が住み始めたのが”アンゴラレス村”のおこりです。

当時、レイ・アマドール(Rei Amador) という若者がいました。

リーダシップをもつ彼のもとに、黒人の奴隷が結集して、サントメを征圧していた

ポルトガル人に反乱をおこします。

ときは1595年。

レイ・アマドール率いる反乱軍が次々に勝利し、ポルトガル人はとうとうサントメから

退却します。

それからわずか半年間でしたが、黒人は奴隷制から解放され、自由を謳歌します。

サントメ史上、革命のようなこの出来事は、400年以上経った今も、サントメの

小中学校で教えられています。

レイ・アマドールは奴隷解放の英雄として、その名を歴史に刻んでいます。

このアンゴラレス村出身の有名な料理人が、地元で活躍しています。

彼の名前は、ジョアン・カルロス・シルバ(João Carlos Silva)。

村を高台から一望できる、Roca Sao Joao de Angolaresというレストランのシェフ

をしています。予約をしないと入れないほど、毎日賑わっています。

はるばるポルトガル、フランス、イギリスなど、飛行機を乗り継いで食にうるさい

ヨーロッパの観光客もいました。驚きました。

彼の料理は、地元サントメのオーガニックな食材を使った、創作料理です。

多くが、地元の農家や漁師から買い付けたものです。

仕入先は、みな貧しい所得の人たちです。

それを、自由で独創的な一品に仕上げていきます。

前菜からデザートまで、実に15皿あります。

なんと贅沢なランチのフルコースでしょう。

サントメの素朴な空気を吸いながら。

眼下の海を眺めながら。

至福のひとときです。

このレストランは昔のポルトガル時代の家を改装したものです。

行き届いた準備とおもてなし。

心の洗濯までしてくれます。

アンゴラの黒人奴隷の血を受け継ぐジョアン氏。

彼の料理には、解き放たれた自由を感じました。


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