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Dias

ディアス家(Dias)は、ポルトガルの大航海時代の幕開けを飾った名家です。

アフリカ大陸の最南端、喜望峰を発見したバルトロメウ・ディアス(Dias)は、

38歳の若さでその偉業を成し遂げました。

彼の孫(パウロ・ディアス・デ・ノヴァイス)は、87年後の1575年に、

初代アンゴラ総督として、現在のルアンダ市に入り、その礎を築きます。

パウロは時すでに65歳の高齢でした。

パウロはその後、オランダとの覇権争いに敗れ、アンゴラ奥地に敗走します。

母国ポルトガルを再び見ることなく、アンゴラで79歳の生涯を閉じます。

パウロの墓は、今もアンゴラ内陸の密林にひっそりと残っています。

そこを訪れてみました。

まるで歴史からかき消されるように、深いツタに覆われていました。

ディアス家(Dias)の名誉にかけて、アンゴラに踏みとどまざるを得なかった

にしても、無念だったに違いありません。

次第に人々の記憶から消え去ったパウロでしたが、

彼がいまのアンゴラを開拓した先駆者です。

のちのアンゴラの紙幣に彼の肖像画が描かれています。

その横顔は、若々しく、逞しく見えます。

アンゴラに入植した65歳の頃には見えません。

むしろ、祖父が喜望峰を発見した年齢(38歳)の頃のようです。

名門ディアス家(Dias)の筆頭として、ルアンダの初代総督に任命された栄誉と

敵国オランダに敗れて敗走する屈辱を、晩年に味わったパウロ。

彼はいまもアンゴラの広大な大地に眠っています。

その魂が彷徨うには、あまりにも人里離れた、寂しいところでした。


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