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Iona


イオナ(Iona)国立公園に旅行で行ってきました。

面積は東京都の7倍。

大西洋岸からナミベ砂漠に広がる

アンゴラ最大の国立公園です。

ここで砂漠を走破するサファリを楽しんでいた

ときのことです。

地平線に、彼方に湖のような影が浮かんで見えました。

湖には、小さな砂丘が浮いています。

”あれー、あんあとこに湖があるよ”、

と、隣に座っていた友人が叫びます。

しかし、いくら走っても、湖にたどり着きません。

それどころか、遠くへ遠くへと、

その景色が逃げていきます。

ぼくらが見て、信じてしまったのは、

実は、蜃気楼でした。

追いかけること1時間。

すると突然、目の前に広大な大西洋が現れました。

海鳥が宙を舞い、潮騒があたりに響きます。

幻想を信じて、気ついてみると、陸の果てにきて

しまいました。

そこに一頭の野生のロバが立っていました。

彼は、きっと飲み水を求めて湖の影を目指して

きたのでしょう。

途方にくれたほうに、突っ立っています。

”彼は、たぶんもたないだろうな・・” そう呟いた運転手は、

車から降りて、水筒を持って近寄ろうとしました。

人間に慣れていないロバは、最後の力を振り絞るように

一目散に、逃げていきました。

そして、気がつくと砂漠の彼方にその姿が消えていきました。

水筒の水もほとんど残っていません。

ぼくらも引き返すことにしました。

蜃気楼は、砂漠の魔境のようでした。


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