M.K.
アンゴラの山間の村を訪ねたときのことです。
M.K.(エム・ケー)君という少年と出会いました。
きっと現地語では長い名前なのでしょう。
アルファベットで、M.K.と名前を書いてくれました。
彼の黄色いTシャツは大きく、穴だらけでした。
彼は道案内をしたりして、お小遣いを稼いでいるようでした。
歩くときは裸足です。
この日も険しい山道を案内してくれました。
歩き終わった後、お礼にと、ポケットにあった小銭を全部
チップとして渡しました。
200クアンザちょっと、60円くらいです。
彼はそれを木陰で丁寧に数え始めました。
しばらくして、小走りで戻ってきて、
「この1クアンザ、この辺じゃ使えないから」
そう言って、小さな1クアンザ硬貨を返してくれました。
1クアンザはとても小さな硬貨です。
小さ過ぎて、渡すときに、ぼくも気にしませんでした。
貧しい山村の子供だったら、さぞ何でも欲しいはず、
と思ってあげたつもりが、実はそうではありませんでした。
村の子供たちは、空のペットボトルで
上手にリズムをとりながら、遊んでいました。
気がつくと、M.K君は木陰に戻って、
仲間と一緒にリズムを打っていました。
空のペットボトルも、上手に使えば楽器にもなるし、
1クアンザの硬貨も、使える人に使ってもらった方が良い。
そう考えるM.K君は、素直で、しっかりした少年でした。